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在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは

更新日:2020年5月11日



 外国人雇用を検討されている企業にとって在留資格「技術・人文知識・国際業務」はもっとも良く聞く在留資格であると思われます。この在留資格はエンジニアから営業、更には通訳や語学教師等のホワイトカラーの職種を広くカバーしている在留資格となります。この記事においては在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当範囲から、ビザを取る為の基準、提出書類、更には申請する際のポイントに関して解説致します。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の該当範囲




 入管法では在留資格「技術・人文知識・国際業務」について下記のように記されております。

 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで及び企業内転勤の項から興行の項までの下欄に掲げる活動を除く。)

 つまりは「理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務(技術・人文知識)又は「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(国際業務)に分かれております。具体的な職種を分類すると下記の通りになります。

技術・人文知識・・・・エンジニア、設計者、測量士、法務担当者、経理担当者、人事担当者、マネジメントの担当者等

国際業務・・・・通訳、翻訳、語学講師(学校で教員として勤務する場合を除く)、デザイナー、広報担当者等

 このように在留資格「技術・人文知識・国際業務」は理学や人文社会学に関連する知識を要する業務、外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務をする際に取得するビザになります。上記はあくまでも一例であり、実際にはこの記事に示したよりも広範囲な職種がこの在留資格に当てはまることが多いです。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取る為の要件とは。




 在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得するための要件は「技術・人文知識」と「国際業務」で大きく変わってきます。

「技術・人文知識」

⓵次のいずれかに当てはまること

a. 職務内容に関連する技術又は知識に関連する科目を専攻して大学を卒業

b. 職務内容に関連数技術又は知識に関連する科目を専攻して日本国内の専門学校を修了

c. 10年以上の実務経験

②日本人従業員と同等以上の報酬を得ること。

 

 大学を卒業した者を雇用する場合には、日本国内の大学出身者に限られず、海外の大学主審者も該当します。また、4年生大学だけでなく短期大学卒業者も含まれます。専門学校生に関しては日本国内の専門学校でなければならず、外国の専門学校ではこの要件に該当しません。 

 また、単に大学等を卒業しているだけでなく、専攻科目と職務内容の関連性がある必要があります。つまりは職務内容と専攻科目が一致していることは求められませんが、関連性を立証していく必要があります。

 例えば大学において情報工学を専攻して卒業した外国人がITエンジニアとして就職数場合だけでなく、大学において経営学を専攻した者が経理等の業務も含まれる飲食店の責任者として認められる場合があります。

「国際業務」

⓵次のいずれにも該当すること

a.翻訳、通訳、語学指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事

b.従事しようとする業務に関連する業務において3年以上の実務経験があること(大学卒業者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は実務経験不要)

②日本人従業員と同等以上の報酬を得ること。

 国際業務は外国文化をもとにする思考又は感性を必要とする業務が該当します。この分野で在留資格を取得するためには3年以上の実務経験が必要になってきます。ただし、大卒の外国人が通訳、翻訳や語学指導に従事する場合には実務経験は不要とされております。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の提出書類





※中規模又は小規模の企業において申請する場合を想定しています。

1. 申請書

2. 写真

3. 源泉徴収票

4. 申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料

(1)労働契約を締結する場合

労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき,労働者に交付される労働条件を明示する文書 1通

(2)日本法人である会社の役員に就任する場合

役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し 1通

(3)外国法人内の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合

地位(担当業務),期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書 1通

5.申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書

(1)申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書 1通

(2)学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書

ア 大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書。なお,DOEACC制度の資格保有者の場合は,DOEACC資格の認定証(レベル「A」,「B」又は「C」に限る。) 1通

イ 在職証明書等で,関連する業務に従事した期間を証明する文書(大学,高等専門学校,高等学校又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む。) 1通

ウ IT技術者については,法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書 1通

エ 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合(大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に従事する場合を除く。)は,関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書 1通

6.登記事項証明書 1通

7. 事業内容を明らかにする次のいずれかの資料

(1)勤務先等の沿革,役員,組織,事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書 1通

(2)その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書 1通

8.直近の年度の決算文書の写し 1通

 上記の書類の他にも申請理由書や成績証明書も是非とも提出した方がいいです。申請理由書とはなぜ外国人を雇用する必要があるのかを説明するための文書でありますが、この文書では「技術・人文知識・国際業務」の要件に該当していることを説明していく必要があります。書式自由であり、出入国在留管理局からも提出を求められることはありませんが、実際の申請においては申請理由書の内容がかなり重視されております。

申請時のポイント




⓵職務内容と専攻科目の関連性の検討

 在留資格「技術・人文知識・国際業務」の「技術・人文知識」において申請をする場合には職務内容と大学等での専攻科目の関連性があることを説明していく必要があります。しかし、実際の企業の実務においては学校での専攻科目で習得した知識と職務内容が一致することは稀です。

 「技術・人文知識・国際業務」の要件においては関連性さえあればよいことになっております。ですので、例えば大学において会計学を含む経営学を勉強した外国人が日本のIT企業において会計システムの開発を行う場合には関連性があるとの判断がなされます。ですので、「文系だからITエンジニアでの申請は無理」と諦めず、雇用する外国人従業員のバックグランドを丁寧にチェックし、関連性を見つけていく必要があります。

②申請者の過去の在留状況(留学生の場合)

 日本に留学する外国人留学生を雇用する場合には、その留学生の過去の日本での生活状況に関しても検討が必要になります。既に日本において「留学」の在留資格を有している場合には、在留資格変更許可申請というビザを変更する手続きをする必要があります。この手続きいおいては申請した外国人の過去の在留状況も審査されます。

 例えば留学生がアルバイトを行う場合には週28時間という制限があることが多いのですが、この制限を超えて働いていたことが発覚した場合には、仮に「技術・人文知識・国際業務」の要件を満たしていたとしても不許可になることが多いです。

③通訳・翻訳での申請は慎重に

 通訳・翻訳を職務内容にして申請する例がありますが、申請される場合、審査官による審査が厳しくなってきます。といいますのも通訳・翻訳で申請を行ったのに実際には工員などの単純労働をしていた例が過去に多かったために、審査官も慎重に審査する傾向があります。そのため、申請する場合には通訳・翻訳業務の必要性、業務量に関してしっかりと説明していくことをお勧め致します。

 今回は在留資格「技術・人文知識・国際業務」に関して解説しました。実際の申請においては判断に迷う部分も多くあります。特に申請理由書は出入国在留管理局での審査において重視されているものの、参考になる書式も公表されている訳ではありません。そのため、完全な自由作文になります。外国人を雇用した経験が少ない法人においてはこの点において苦労する方が多いようです。もし、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の申請にお困りの場合は当事務所にお気軽にお問合せください。

伊藤大智

申請取次行政書士

080-5183-4897

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